「もってのほか」など食用菊の特徴的な成分

科学的に成分を知るまでもなく、美しい色、さわやかな花の香り、を味わうだけで、気持ちが安らいだり、秋の収穫の喜びを感じることができて、食用菊というのは秋の味覚としてとても優れたものだと思います。

しかしながら、食の研究は着々と発展しており、食用菊の栄養成分、機能性成分について様々調べられていますので、こちらにまとめてみます。

食品成分データベースで「食用菊」と検索してみると、野菜類/きく/花びら、で出てきます。「生」と「ゆで」、乾燥させた「菊のり」のデータがあります。

ビタミン類の数字を見てみると、α-トコフェロール(ビタミンE)4.1㎎、ビタミンK10㎍、ビタミンB₁ 0.06㎎、ビタミンB₂ 0.07㎎、葉酸 40㎍、などの含有量が多いようです。(以上、挙げた数字は「ゆで」の数値です。)

 

山形では、黄色い食用菊と「もってのほか」と呼ばれる紫色の食用菊をよく見かけます。新潟県の「延命楽」(「かきのもと」)という紫色の品種と、青森県の「阿房宮」という鮮やかな黄色い品種が広く知られているようです。今回、調べてみてちょっと驚いたのですが、品種としては「もってのほか」は、「延命楽」と同じとされていました。

食品成分データベースの成分値は、これらの代表的な品種を調べた平均値が使われていると思われます。

 

さて、次に、生体調節の機能性成分について見てみました。

食用菊には、さまざまな機能性があるとの報告があります。1997年には「食用花弁に含まれるポリフェノール類含有量と抗酸化活性」についての報告が出ており、その後も食用菊の産地の大学を中心に、「ガン細胞増殖抑制」「神経栄養因子様作用」「ラジカル消去活性」「細胞内情報伝達物質活性化作用」について研究されています。

ガン細胞増殖抑制物質としては「イソクロロゲン酸」、神経栄養因子様作用やラジカル消去活性を持つのは「フラボノイド類」、細胞内情報伝達物質活性化作用を持つのは、フラボノイドの一種である「テトラヒドロキシフラバノン」「ルテオリン」「アカセチン」である、ということが明らかにされています。

 

食用菊は、重要なビタミン類を摂取することができる、ということで、野菜として優秀なようです。子供の頃の私は「栄養がなさそう」「なのに何で食べなきゃいけないんだろう」と思っていました。これは誤った思い込みだったようです。

ストレスの多い現代社会においては、神経伝達物質を活性化する機能性を持つ、というのは、やはり、なかなか魅力的な食材であるように思われます。