干物・乾物ってあると便利。「いもがら」のイタリアンも?!

納豆汁が、雪深い山形県の郷土料理である理由を考えると、春が遅い地方では、春のはじめに若菜などを食べることはできず、野菜・山菜は干物にしてとっておいた物しかなかった、それを、やはり保存がきいた納豆と共に、味噌汁でおいしく食べた、ということであろう、ということですよね。

今となっては、冬も温室やビニールハウスで野菜が栽培できるようになっており、流通が発達して暖かい地域で栽培されたものが雪国でも手に入る時代ですが、今でも納豆汁に「いもがら」が入っているのは、あの特徴的な独特な食感の「いもがら」がおいしいから、であろう、と思います。

乾燥させることによって、物性は明らかに変わります。水で戻しても、もとの生だった時の食感には戻りません。このあたりも、食品の科学としてはなかなか面白い事柄です。

それはさておき、干物・乾物って、持っていると便利なものだなぁ、と、乾物の本を引っ張り出してみました。

キッチンの本棚には、奥薗壽子先生の「もっと使える乾物の本」(農文協)がありました。ぱらぱらとめくってみると、あらゆる乾物について取り上げられています。

初級編では、乾燥わかめ・カットわかめ・のり・干しシイタケ・ひじき・凍り豆腐・切り干し大根・ゆで干し大根・ふ・豆・すき昆布・きざみ昆布、とあります。これらはよく知られているでしょう。次が中級編は、湯葉・とろろこんぶ・おぼろこんぶ・木くらげ・かんぴょう・春雨・ビーフン・桜えび・干しえび・干し貝柱・ドライフルーツ、が並んでいます。このあたりになると、料理上手な人が使うというイメージですよね。

上級編になるとどうかというと、山くらげ・いもがら・金針菜・ふのり・くこ・納豆こんぶ・ドライトマト、が取り上げられています。これはけっこうマニアックで一般には知られていないものもあるような気がします。「いもがら」はここに入っているんですね。

「いもがら」については、’’里芋の茎を栽培したものが「ずいき」で、「ずいき」の皮を剥き、7日~10日間天日乾燥させたものが「いもがら」です’’と説明されています。

’’平安時代から血をきれいにすると食べられてきた’’とあり、これは現代でもたいへん魅力的ですね。

「いもがら」の料理として、オリーブオイルとにんにくで炒めた、イタリアン風もおいしいとのこと。みそ汁で十分おいしいので、他の料理まで試そうという気にもなりませんでしたが、知ってしまったからには、これも試してみようと思うのでした。